メディアリテラシーって、要するにツッコミ力か?

 現在の情報化社会においては、一人一人がメディアリテラシーを身につけるのが大事だ、情報の真偽を見抜く能力が必要だ、と以前から散々聞かされてきました。
 まあ確かに大事なんだろうねとは思いつつ、じゃあ具体的にメディアリテラシーとやらを身につけるにはどうすればいいのよ? という疑問への答えは、あまり見つからなかったように思います。単に僕が見落としていただけかもしれませんが。

 んで先日、この記事のタイトル通りの知見に、ふいに気づきました。
 つまり、他人が言ったことに対し、「それっておかしくね?」とツッコミを入れることのできる能力。それこそがメディアリテラシーというやつではないのか、と思い至ったのです。

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 世の中、嘘が満ちあふれています。
 意図的につかれた嘘に限らず、発言者自身も自覚してない嘘もたくさんあります。多分、世の嘘の大半は後者でしょう。

 メディアリテラシーとは、情報の真偽を見抜く能力のこと。ということで、まずは「嘘の情報」を見抜く方法および、なんで世の中には嘘が満ちあふれていると言えるのかについて、僕なりの考えを書いておきます。

 まずは最初の例として、僕が以前書いた文章を使うことにします。

 ちょうど1ヶ月前に、2010年に僕が遊んだゲームの中から特にオススメのものについて語りました
 この中で、第1位に挙げたMAGというゲームについて語った一文、その冒頭にはこんなことが書かれています。

PS3というハードの存在価値の2割ぐらいは、このMAGというゲームが遊べることにあります。

 さあ、ツッコミを入れましょう。

 まず、2割という数字はどこから出てきた。どういう計算で、「MAGが遊べること=PS3の存在価値の2割」という結論が出たんだ。根拠が全くわからんぞ。
 そもそも主語抜きで語っちゃってるけど、「PS3というハードの存在価値」てのは誰にとっての話だ? 俺か? PS3を持っている全ユーザーか? ソニーグループか? 日本社会か?

 こういったツッコミを入れてみれば、この一文がいかに信頼の置けない「情報」であるのかがよくわかります。
 この情報を真に受けて、「PS3の存在価値の2割は、MAGが遊べることだぜ」なんて吹聴して回った日には、馬鹿野郎確定です。こういうことをやってしまうと、嘘情報に踊らされた情報弱者、メディアリテラシーを持ち合わせていない愚か者、となります。

 似たような例としては、同じく僕が書いたオススメラノベ紹介記事の中にも見受けられます。銀河英雄伝説についての記述です。
 
宇宙一の小説。

 宇宙一って、誰にとってだ。全宇宙の小説ランキングみたいなもんがあんのか。俺にとっての宇宙一か? じゃあお前は宇宙の全ての小説を読んでるのか。そもそも、なんで宇宙なんて単語が出てるんだ。

 といったツッコミを行わず、この情報を真に受けて「銀英伝は宇宙一の小説です」などと真顔で吹聴した日には以下略。

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 まあこういう世迷い言の類であれば、そうそうだまされる人もいないと思います。
 ただ実際には、こういう世迷い言――すなわち個人の感想に過ぎないことを、あたかも世の真理であるかのように発言しちゃったり、そんな他人の発言を信じ込んじゃったりという例もよく見られます。ちなみに、この「よく見られます」というのも僕が適当に書いただけであり、本当によく見られるのかどうかは知りません。

 たとえば銀英伝のWikipediaには、以下のような記述があります。

原作は総計1500万部突破を記録したロングセラー作品である。
(中略)
本作はベストセラーかつロングセラーとなり、刊行以来重版増刷が繰り返されてきた徳間ノベルズ版の第1巻は初刊からほぼ20年目にして100刷の大台を超えている。新書ノベルス版以外にも箱入りハードカバーの愛蔵版、徳間文庫版、2000年から2003年にかけて“ファイナルバージョン”と銘打って刊行された本編全20巻、外伝全9巻、これにハンドブックを加えた全30巻の徳間デュアル文庫版(巻数が増しているのは、ジュブナイル向けに従来の1巻分を2分冊にしているため)など、バリエーション豊富な装丁による書籍が刊行。いずれもコンスタントに売れ続けている。

 ここに書かれている数字情報が本当に事実なのか? というツッコミもあり得ますが、それはひとまず置いておきましょう。このレベルでまでツッコミを入れてると、面倒くさくてどうしようもなくなります。
 で、これらの情報を信じるならば、銀英伝はすげーたくさん、しかも長期間に渡って売れ続けている作品であるわけです。なるほどなるほど。

 だからといって、これらの情報は「銀英伝は宇宙一の小説です」という主張の根拠には全くもってなり得ません。理由は最初に突っ込んだときから変わってません。

 しかし「ベストセラー」「ロングセラー」という情報がくっつくと、作品の質そのものも当然高いんだろうな、と無条件に信じてしまいがちです。
 実際のところ、買った人のうち何%が本作品に満足したのかなんてわかりませんし、満足した人に関しても、「これは宇宙一の小説だ!」と思っている人がどれだけいるのかなんて、やっぱりわかりません。根本的なことを言えば、なにをもって「宇宙一の小説」を決めるのかという定義がはっきりしてない以上、個人の感想や売り上げ情報などをいくら寄せ集めたところで、「銀英伝=宇宙一説」の根拠にはなり得ません。

 事実を元に行われている主張であっても、両者の因果関係がはっきりしない限りは、正しいとは限らない。どんなにもっともらしく見える意見も、「そう見えるだけ」であれば、本当に正しいとは限らない、ということです。

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 別の例として、今度はためしてガッテンの過去の放送を取り上げます。健康診断についての話です。
 この真ん中あたりに、こんな記述がありました。

今回の報告の対象は「健康診断」ですが、X線検査に関して肺がん発見にいくつかの有効性を示す報告もありました。
肺がん検診を“定期的に受診している人”と“たまにしか受診しない人”での死亡率を比較すると、前者は後者に比べて死亡率が30%低かったという報告もありました。たとえX線の検査でも、受けないことが一番よくないのです。

 この「報告」そのものの詳細も不明ですが、ここではやはり無視します。
 問題なのは、この報告が正しかったとしても、そこから「たとえX線の検査でも、受けないことが一番よくないのです」という結論が本当に導き出せるのか? ということです。

 たとえば、こんなツッコミが思いつきます。

「がん検診を定期的に受けてるような人間なら、そもそも健康全般に気を使ってるはずだろ。だったら死亡率が低かったのは検診の頻度とかじゃなく、普段の生活そのものが原因なんじゃねーの?」

 このツッコミが正しいかどうかはさておき、少なくともこういうツッコミの余地がある以上、元の情報には嘘の可能性があるといえます。

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 書いてて面倒くさくなってきたので、まとめます。

 要するに、いろんな人間や組織がいろんな所でいろんなことを言ってるけど、かなりデタラメの可能性が高そうなんで、適当にツッコミ入れながら聞いたほうがいいんじゃね? ってことです。
 言った本人に自覚のない嘘ってのもたくさんあるでしょう。また、学者や専門家であっても、自分の専門分野に関してデタラメなことを言ってるケースが結構多いような気がします(単なる仮説を、あたかも事実であるかのように断言したり)。

 あと、情報を疑う方法はわかった、じゃあ正しい情報を見つけるにはどうすればいいんだ? という疑問もあるかと思います。

 これについては僕も結論が出ていないので、なんとも言えません。
 とりあえず、「自分自身で試してみる」というのが有効な解法の一つだとは思いますが、試しようのないことも多いですからね。どうしたもんだか。

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  • 雑記 もう全部仮説ってことで

    Excerpt:  仕事の合間に、ついついネット上のいろんな文章を読んでしまいます。  今日読んだのはこちら。 Weblog: U型改 racked: 2011-02-02 20:46