勧めない勧め方 と、冲方さんの話

 すでに購入しわが家にある、冲方丁さんの新作『天地明察』。なんか、すごい評判いいみたいです。
 とうとう冲方さんの真価が世間にも認められたか。にしてもそんなに面白いのなら、こりゃ読んでみるのが楽しみだ――。

 とはならず、ベタ褒めコメントの数々を読んでいるうちに急速に萎えてきて、なぜか「買わなきゃよかった」とまで思うようになってしまいました。
 僕自身はまだ天地明察を1ページも読んでおらず、面白いかどうかなんてわかりません。むしろ、冲方ファンの僕にとっては、傑作である可能性のほうが高いはずです。なのに、なんだこの心理。

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 この心理とは違う話かもしれませんが、mk2で高得点のゲームのコメントをちゃんと読んだときも、なんか読めば読むほど買う気が失せてくることがあります。
 一方、ファミ通のクロレビで高得点がつき、コメントでもベタ褒めされていると、それまで興味なかったけど買ってみようか、という気になることがよくあります。どちらのコメントが当てになるかといったら、mk2のほうのはずなのにね。

 こういった心理が生じるメカニズムについて、適当に推測してみます。

・あまりに感情的なベタ褒め文を読むと、かえって萎える?

・あまりに詳細な分析文を読むと、やっぱり萎える?

・あまりにみんな(大勢)が褒めまくっていると萎える?


 潜在意識は顕在意識の反対の方向に動く、とかいう説があるので、「すごいすごい」という声ばかり聞いてると、逆に反発を覚えるのが自然なのかもしれません。
 また、理性を強く働かせると、その分感情が抑えられるという説もあるので、あまりに詳細な分析とかを読んでしまうと、心が強く動かないのかもしれません。どっちも推測ですけどね。

 人の心を動かすコツは、強制ではなく、本人をその気にさせることだと言います。
 こちらの言葉で相手を動かすにしても、直接なにかを勧めたり褒めたりするのではなく、いかにさりげなく相手の心に言葉を届けるのかが大切なのかも。

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 ファミ通のクロレビなどという、冷静に考えれば実に怪しい信用度しか持たないコーナーが、なぜ妙に購買意欲を刺激してくるのか。これも推測してみます。

・長すぎず短すぎない文章量。

・ある程度感情が入りつつ、基本的には理性的な文章の質(言ってることが正しいかどうかは別)。

・単純明快な点数表記。


 長すぎたり、分析的すぎたりする文章だと、読んでいて理性が強く働いてしまうため、心が動きにくくなる。かといって短すぎる文だと、そもそもなんの判断も下せないし、感情的な文だと読んでいて反発を覚える。
 ファミ通のクロレビは、そういったバランスをうまいこと取っているがゆえに、読む側が勝手に想像やらなんやらをふくらまし、心が動くのかもしれません。まあこれは適当に言ってるだけなんで、実は全然違う理由によるのかもしれませんが。

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 さて、せっかく買った天地明察をなぜまだ読んでないかというと、同じく冲方さんの新作である、テスタメントシュピーゲルを読むのに時間を費やしていたからです。

 ライトノベルの格とか深みとかいう曖昧な基準に照らして言えば、冲方丁という人は、おそらく世のほとんどのラノベ作家の数段上にいます。
 その代わり、話の展開や設定がいろいろとわかりにくかったりはするのですが、よくわからなくても面白いので別にいいや。

 ところで、上でいろいろ書いてしまった手前、僕が冲方さんの小説をオススメする場合、一体どうやって勧めればいいのかがわかりません。
「ファミ通クロレビの書き方をパクる」という案を思いつきはしましたが、今から改めてそれを書くのも面倒くさいので、今はやめておきます。

 とりあえず、じゃあ冲方とかいうやつの小説を買ってみるか、と思った人がいたら。
『マルドゥック・スクランブル(圧縮)』『オイレンシュピーゲル』『スプライトシュピーゲル』のどれかから入ってみることをオススメします。冲方さんの他の仕事としては、ラノベ版『カオスレギオン』とか、アニメのファフナーとかもありますけど、これらでもって冲方丁という人の評価を下すのは、個人的には間違ってると思いますので。





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