感想 『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』



 タイトルにある「非論理的な人」「論理的な文章」という言葉は、具体的になにを指しているのかが曖昧です。
 この本が言う「論理的な文章」とは、「自分の伝えたいことを相手に的確に伝えることができる文章」を指します。

 では、そんな文章を書きたいと望むのであれば、この本は読むべきなのか?
 読むべきである、と言えます。

「論理的な文章」を書く秘訣は、「クイズ文」である、とこの本は説きます。
 まず最初に問題を提示する。次に、その問題の解答を記す。最後に、なぜその解答になるのか、理由を述べる。

 この構造に乗っ取って文章を書けば、他人に伝えたいことが誤解されることなく伝えられる、というのです。
 この方法が秀逸であるのは、「構造」ができていること、すなわち「型」にハマった文章を書くことができる点です。決まった型に従って書けばいいので、誰でも「論理的な文章」が書ける、ということになります。

 型にハマるというと、悪いイメージを抱く人もいるでしょう。そんな文章じゃ、書き手の個性が損なわれるんじゃないか、と。
 心配はいりません。この「型」は、あくまで伝え方を限定するものであり、書き手の言いたいことをより適切に伝えるための型です。実際になにを伝えるかは書き手の自由であり、その点において、個性が損なわれることはありません。

 本書の内容は平明であり、書かれている技能については簡単に理解することができます。身につけることも、実践を繰り返せばさほど難しくはないでしょう。なので本書は「買い」です。

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 でも自分はそもそもそんな文章を書きたいと思ってないんで、別に読まなくてもいいよね? とか言っているそこのあなた。いるかどうか知りませんが、そこのあなた。
 そんな人にも、本書はオススメなのです。なぜなら本書には、他人が書いた文章の質を判断できるようになる、という効能もあるからです。

 今の時代、ネットをちょっと回れば、いろんな人がいろんなことを主張しています。同じ題材について論じていても、論ずる人が変われば意見が百八十度異なることも珍しくありません。
 それらの主張は本当に正しいのか、一体誰が正しいことを言っているのかを判断する上で、本書に記された「論理的な文章の書き方」は、そのまま「論理的に書かれた文章の判断の仕方」として転用できます。

 すなわち、書き手の提示している問題は明白であるか。それへの解答は、問題と正しく呼応しているものであるか。解答の理由には説得力があるか。
 こういったことを意識して他人の文章を読めば、その主張の質が判断しやすくなります。一見もっともらしいことを言っていても、実は支離滅裂だった、ということがわかったりします。この判断能力を身につければ、ネット上に限らず、他人が述べるあらゆる意見の妥当性を正しく理解できるようになり、賢い知的生活を送れるようになります。

 つまり、文章を書きたい人に限らず、他人の文章を正しく読みたい人にとっても、本書は買いであると言えます。

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 以上、本書の技法を僕なりに使って、この本をオススメしてみました。
 最後に1つ、この本がオススメできるかできないかという本題とは無関係な感想を述べます。

 わかったこと。「説得力のある意見」を述べるのは面倒くさい。

 上では触れませんでしたが、本書は単に自分の意見を他人に伝えるための技法に留まらず、自分の意見に説得力を持たせるための技法にまで言及しています。
 その方法を簡単に言ってしまえば、「解答の理由、その根拠に信頼のおけるデータを用いる」ということになります。

 これをまじめに実行しようとすれば、おそらく相当面倒くさいことになります。
 なにせ、なにか主張しようとしても、その根拠が「俺の勘」ではダメなわけです。お前の勘なんか信用できるかという人を説得するために、客観的な信頼性の置けるデータをあちこちから集めてこなければならないわけです。ああ面倒くさい。

 逆に言えば、本気で他人を説得したいと思うのなら、この程度の面倒くささぐらいは引き受けないとダメだ、ということになります。
 その面倒を避けたいのであれば、俺は単に自分の意見を述べるだけ、信じる信じないは読み手の勝手だ、ぐらいの態度で開き直る他ありません。

 で、僕はブログを毎日更新しようと心がけている身であり、なにか主張するたびにいちいち説得のためのデータをかき集めてくるのは面倒であるため、今後もいい加減なことばかり書く路線で行きたいと思います。
 結局のところ、本書で言う「日記文」が、お気楽な更新には似つかわしいということなのでしょう。事実を述べ、それについての感想を言うだけ。主張? 根拠? まあいいじゃないですか、とね。

 それでも、たまにはなにかまじめに主張したくもなるでしょうから、そういうときはできる限り、本書の技法を活用させてもらうつもりです。
 どうせなにかを主張するなら、説得力があるにこしたことはありません。

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