薔薇色にチェリースカ 2巻 感想

 感想としては、1巻よりも微妙。
 もう続き読む気もしない、というほどつまらないわけではないですが、別に楽しみでもないなというのが正直なところです。まあこっちは銀盤で大いに感動させてもらった身なので、そのつきあいで続きも買いますけど、というレベルですね。

 以下、微妙と感じたところを並べます。

 まずそもそもの問題として、文体がこの作品に合ってない気がします。
 この小説の文体は、少なからず自己陶酔が入っています。この「自己」とは、おそらく作者であると同時に、キャラでもあるのでしょう。

 問題なのは、どのキャラ視点で描かれているシーンであっても、文体は同じようなものであり、どれにも同じように自己陶酔が入っちゃってるってことです。
 各キャラの個性が文体に表れているわけではないし、かといってキャラを選ばないような汎用性のある文体でもないので、どうにも読んでいて引っかかります。文体だけが一人歩きしている感じなんですね。

 さらにぶっちゃけてしまえば、この文体はタズサ専用という感があります。少し広げるにしても、銀盤の女キャラ専用、でしょうか。

 銀盤の女キャラは、すなわちスケーターであり、みんな最終的には自分の力で勝負するしかない立場にありました。だから文体に自己陶酔が入っても、彼女たちのつらさを表す心理表現として自然に読めたわけです。
 でもチェリースカの場合、自己陶酔的に自分のつらさを散々描いたあげく、自力ではなく他力によって助けられたりしているのが、なんだかなあと。

 逆に言えば、文体を変えるだけでも(それが大変なのかもしれませんが)、作品の印象はだいぶ違ってくるんじゃないかと思います。

 次、今回出てきた異世界の概念。
 まあ今時、異世界などというものになんの新鮮味もないということは別にいいです。新鮮味がないからこそ、自然に取り扱える要素でもありますから。
 でもなんか、今回の異世界はあまりにもひねりがないというか、ストレート過ぎというか。うまく言えませんけど、もう少し描きようはなかったのかなあという気になりました。

 描きようという点では、今回の敵についても同様です。
 一見穏和だったやつが実はサドだった、という豹変パターン。問題なのは、肝心の「穏和だった」シーンが1巻含めてろくに記憶にないということ。
 そもそもこれまでたいして取り上げられていなかったキャラなので、そいつが豹変しましたとか言われても、読んでいて全くショックではありませんでした。さらに言えば、そのサドっぷりもいかにもステレオタイプで、面白味に欠けますし。
(銀盤と併せて考えるに、作者はそもそも魅力的な男キャラを描くのが苦手なんじゃないか、という気もします)

 最後、その敵との戦いについて。
 敵は無茶苦茶強い、という設定です。実際強いのはわかるんですが、にしては倒し方がちょっとあっさりじゃないかなあと。

 これは1巻でも感じたことです。1巻最後のチェリースカ無双はさておき、その前の放水アタックは、逆転の切り札としては地味というか、けれん味に欠けるというか。
 もっとこうベタな、苦戦して苦戦して、起死回生の策も次々に破られて、でも最後の最後でついに勝った! というようなタメが欲しかったところです。

 僕が銀盤のラスト3巻をなぜ絶賛しているかというと、タズサがひたすら追い詰められていたからです。その上でラストの展開に結びついた、それがすごかったわけです。
 かたやスケート、かたや殺し合い。でも追い詰められてる感は圧倒的に前者のほうが上です。
 そこだけでも今後なんとかならないものでしょうか。銀盤で一度はできていたわけですから、もう一度やることだって、不可能じゃないのではと思いますけど。

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