『空ノ鐘の響く惑星で』(脳内対談)※ネタバレあります

 ――さて、まずは最終巻を読み終えた感想、どうだった?

 うん、面白かったよ。最終巻は昨日の夕方から読み始めて、夜までに一気に読み終えた。しっかり盛り上がってたし、よかったんじゃないかな。

 ――じゃあ続いて、作品全体の感想を。

 そりゃまあ、面白かったんだけど。ただ、全体的なこと言っちゃうと、地味だよね。

 ――そう? 「しっかり盛り上がってた」って、さっき言ったばかりじゃない。

 いや、盛り上がってはいたんだけど。なんつーかさ、このシリーズは戦争とか政治とか扱ってはいるんだけど、本質はあくまでキャラ話であって、決して大河ドラマではないっていうかさ。例えるなら、地味な銀英伝というか、地味なアルスラーン戦記というか。

 ――具体的にどう地味だと?

 ん……まず文章的なことで、昨日読んでても目に付いたんだけど、「~と思う」って書き方が多いのな、この小説。登場人物の考えを地の文で語るに当たってさ。
 ニュースの街角インタビューなんかで、答えてる人が自分の気持ちをしゃべってんのに、最後に「~と思います」って言ってんのを見ると、ちょいむかつくのよ。自分の気持ちなんだから、普通に断言しろやって。
 まあそれとはちょっと違うんだけど、「~と思う」が多いせいで、話のインパクトみたいなもんがちょっと弱まってる気がするんだよな、この小説。文章が、それこそ銀英伝みたいな詩のレベルにまで登りつめてないっていうか。

 ――でもわかりやすい文章だからいいんじゃない?

 ま、そうなんだけどね。地味は地味。
 展開的なこともそうよ。たとえばアルスラーン戦記だったらさ、最強の戦士であるダリューンは大暴れしてるし、ヒルメスなんかと激しい一騎討ちをしたりしてるじゃない。でもこっちのほうは、多分最強であろうウィスタルが、それほど戦ってない。見せ場らしい見せ場といえば、ベリエとの一騎討ちぐらいでさ。
 あと戦記と呼ぶには、そもそもあまり戦争してないしな。戦闘は多いんだけど。

 ――別に戦記と題打ってるわけじゃないんだから、いいんじゃないかな。

 だけどさ、主人公が剣を使える王子で、強いやつが敵にも味方にもわんさかいるんだから、もっと派手にガンガン戦ってもいいと思うわけよ。でもなんか……アクション的には、せっかくの素材を生かしきれてないって感じかな。ちょっと言いすぎかもしれんけど。

 ――じゃあ質問変えるけど、面白かったのはどういう点なわけ?

 キャラの心情とか生き様とか、そういうドラマ部分が。最終巻で言えば、エンジュとイリスとか、カトルの最期とかがよかったね。って、思いっきり脇役サイドの話だけど。
 渡瀬先生自身もサイトで書いてるけど、特に終盤は、脇役や敵方の話のほうがドラマとして面白かったよな。味方サイドは、フェリオたちの三角関係が、なんか固定したようなしないような感じでちまちま書かれてただけだし。大体、最終巻で一番カッコいいのは明らかにパンプキンだし。

 ――フェリオは結局、「あっさり両方どりでスルー」(by神楽坂明日菜)しちゃったわけですが。

 ……一夫多妻制っていいよな。なんか、それで済ませちゃったらおしまいじゃんというか、あんだけ三角関係でもめてたのはなんだったんだって気もするけど。ていうかうらやましいなチクショウ! 美人2人と夜は(以下、品性的に問題があるので削除)。

 ――イリスもなんだかラブラブになっちゃったね。

 ああうらやましいなコンチクショウ! エンジュは子どもができないよう中(削除削除)。

 ――結局ラブラブエンドをうらやましがってるだけなんじゃ……。

 いや、そうじゃない、そうじゃない。
 こう言うと思いっきり語弊があるけど、この作品は、あくまでライトノベルとして展開して、ライトノベルとして終わったよな。銀英伝だってジャンル的にはラノベに含まれるんだろうけど、でもやっぱ、「ラノベ」の一言では済ませられないクオリティがあったわけじゃない。
 空鐘はそこまでは行ってない。優秀なラノベではあっても、それ以上でも以下でもない。それが悪いってわけじゃないし、何度も言ってるように面白くはあったんだけど。

 ――たとえば、もっと人が死ねばよかったとか?

 そういうわけでもないだろうけど。なんだろう……なにかが足りないとかじゃない、充分足りてはいるんだよ。ただそれはラノベとしての枠内で足りてるだけであって、枠を突き破るほどではないっていうか。
 某ラノベ読本で、空鐘を「長く語られるであろう」作品って言ってる人がいたんだけど、そこまでにはならないんじゃないかと。銀英伝なんかは文字通り伝説になるけど、空鐘はあくまで、面白いラノベの1つという以上の存在にはならないんじゃないかな。

 ――なんか、空鐘をさかなにしつつ、結局「銀英伝おもしれー!」って言ってるだけのような気がするんだけど。

 いや、一応戦争とか政治とかを扱ってるから、比較対象として挙げただけで、他意はないよ。
 まあいいや。少なくとも、他人に「ちょっと読んでみ」って勧められる程度の面白さは確実にある作品だから。なによりちゃんと完結したってのが偉いよね。それに比べて、星界はそもそもいつ続編が(略)。

 ――はいはい、じゃあ「空鐘は面白かった」が結論ということで。ありがとうございましたー。

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