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zoom RSS デバッガーだった頃の話と、それに関連した話

<<   作成日時 : 2010/03/31 20:13   >>

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 コメントのやり取りに絡めて、僕が昔デバッガーのバイトをしたときの話をします。

 時代は、もう10年近く前になるのかな? 某有名ゲーム会社のデバッガーのバイトをすることになりました。

 このバイトは2週間で辞めました。
 2週間の間にチェックしたゲームは3本ありました。いずれも、ファミ通でレビューされたら、ひいき目に言って「6555」ぐらいかな、という程度の凡作です。

 なぜ2週間で辞めたかというと、ひとえにつまらなかったからです。
 デバッグの仕事は、同じゲームを1日中遊んで、バグを探すことです。1日中遊べるのなら結構な話じゃないかと思われがちですが、問題は、どのゲームを遊ぶかは選べないということです。

「6555」レベルのゲームを1日中遊ばなきゃいけないというのは、退屈以外の何物でもありません。プライベートではそもそも絶対買うこともないだろうし、買ったとしても30分でやめていること間違いなしな代物です。
 それを1日中、次の日もその次の日もやらないといけないのです。単に遊ぶのがつまらないというだけでなく、「こんなゲームのバグ取ったって、どうせ『6555』だろ」という思いがあるため、やりがいも全く感じません。

 僕と同じ日にバイトを始めたある人は、初日の昼休みに姿を消し、そのまま帰ってきませんでした。
 古参のバイトたちはその人を馬鹿にしていましたが、僕は正直、その人のほうに共感を持ちました。できることなら、僕も逃亡したかったからです。

 僕がバイトを2週間続けたのは、最低でもそれくらいは働かないと会社に義理が立たんだろう、という義務感からだけです。
 内心は古参のバイトたちに対し、たいして給料がいいわけでもないのに、よくこんな糞みたいな仕事を続けてられんな、と思ったものです。なまじゲーム好きであればあるほど、こんな仕事はやってられんだろうに、と。

☆★☆★☆

 そんな中、僕も初めてのバグを発見しました。

 デバッガーは見つけたバグの内容を書類に書いて、チーフを通して開発のほうに回します。
 という話をチーフから聞き、書類を渡されたので、僕も書類に記入をして、チーフの所に持っていきました。

「これでいいですか」
「だめです」

 だめです、て。

 チーフが言うには、書類には決まった書式があるので、それを守って書かなきゃダメだということです。
 なぜそれを、僕に書類を渡す時点で言わんのかと。ただの二度手間じゃねえか。

 別のバグを発見したときは、すでに他のデバッガーが報告しているので書く必要はない、と言われました。
 また、あるゲームには、途中のステージをクリアしたときの条件によっては、そこから先へ進めなくなるという深刻なバグがありました。それについて教えられたのは、僕が2時間ほどゲームを進め、まさにそのバグに直面したときでした。

 すでに判明してるバグについては、一覧表にでもして全員が見られるようにしとけと。
 そもそもデバッガーに対しても、「今日はこのゲームやってください」という指示が出るだけで、具体的にどういう方針で遊べとかいう指示は一切ありませんでした。

 この職場には、お約束の「ほうれんそう」の標語が貼ってありました。
 僕がこの言葉を嫌いになったのは、ひとえにこのバイトの体験によるものです。仕事を効率よく進める工夫をまるでしてないくせに、なにがほうれんそうだ、と。

 あと、ゲーム画面に表示されているキャラの色が明らかにおかしかったんで尋ねると、「それはいいんです」との答えが返ってきました。
 なぜいいのかは聞きませんでしたが、おかしいのは間違いありませんでした。なので、そのバグはすでに報告してるからいいという意味だったのか、あるいは開発側に直すつもりがそもそもないのか、といったところでしょう。

 まあそんな感じで、最終的にはゲーム起動時にその会社のロゴが出るのを見るだけで不快になる有様だったので、早々に辞めさせてもらいました。

☆★☆★☆

 無論、デバッガーの質や職場の環境も、場所によって違うとは思います。
 ただ、現在に至ってもいろんなゲームに深刻なバグが見られることを思うと、そもそもバグ取りをデバッガーに頼るやり方自体が間違ってるんじゃないか、とも思うわけです。

 バグを発見するための一番の方法は、人海戦術でしょう。大勢が遊べば遊び方の幅も広がりますから、自然といろんなバグが発見されます。
 僕の職場のデバッガーは、せいぜい20人程度だったでしょうか。もっと大きなプロジェクトなら3桁の人数が関わるのかもしれませんが、いずれにせよ、実際にゲームを買って遊ぶユーザーの数には及ぶべくもありません。

 その上、デバッガーを雇うのには当然ながら費用が必要です。
 僕はいくらもらったか忘れましたが、仮に時給800円だったとして、1日8時間働けば6400円。20人いれば12万8000円。その人数が30日間働けば、384万円にもなります。

 計算の適当さはさておき、ともかく金がかかるわけです。
 金がかかる上に、作業効率もよくないのでは、どうしようもありません。だったら最低限のプログラムができあがった時点で、とっとと大勢のユーザーの下へ送り出し、ただで効率よくバグを見つけてもらうという方法はありなんじゃないかと。

 この案は、企業だけでなく、ユーザーの側にとってもメリットがあります。
 早いうちから実際に遊んで、開発元に意見を述べれば、それによってゲーム自体の質もどんどん上がるはずです。開発期間が短い=予算がかからないということですから、企業の側も早めにユーザーの声を聞く態勢を作ってしまえば、開いた時間(予算)を品質改良に当てることができます。

 企業の側の負担は減るし、ゲームの質が上がるので最終的にはユーザーも満足する。いいことづくめです。

 無論、最初の未完成版を無料もしくは安価でユーザーに渡した時点で、ユーザーが「こりゃ糞だ」という判定を下して離れてしまえば、その後はなにもできなくなります。
 しかし、クソゲーを作ったせいで会社が損を出すというのは当たり前のことなので、問題とは言えません。むしろ、普通に発売した後で深刻なバグが発覚しました、実はとんでもないクソゲーでした、といったパターンよりは、企業とユーザー双方にとってダメージが少ないと思います。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
Wii時代のデバッガーは、既に肉体労働の域に達してるでしょうね……。
全身全霊のヨガ体操でループ処理やフラグ処理の粗探し、これは死ねます。

>大勢のユーザーの下へ送り出し、ただで効率よくバグを見つけてもらうという方法はありなんじゃないか
実際にiPhoneアプリでは「完成に近い(と思われる)アプリ」を無料で出しつつ、
怒涛のアップデートを加えた有料版による展開はその典型でしょうね。
またMGSpwのように『未完成防止版』と称して体験版を配信し、
ユーザーの反応を図るのは、近似し得る概念の中でも特に成功例かと。

>なまじゲーム好きであればあるほど、こんな仕事はやってられんだろうに
デバッグは「プログラム(仕様)のミス」を探す仕事ですし、
ある意味でゲームよりも、プログラミングが好きな人向けでしょうね。

ギャルゲーのデバッグは虚しいですよー。
感動するシーンでBGMがバグ(多重再生)り、もう何もかも台無し。
中盤で死んだキャラが、終盤で何事もなく主人公を囃し立てたり。
まぁ一番デバッグが必要なのは「萌えない事」ですけど。トホー。
gac
2010/03/31 21:32
>Wii時代のデバッガー
モーションプラスのチェックとかだと、
機械の側に問題があるのか、
自分が微妙な動かし方をできてないのかで
混乱するかもしれませんね。
Natalとかが出てくると、全機種のデバッガーが同じ苦しみを味わうことになるのかも。

>ユーザーの反応を図る
ゲームのタイプによって、どこまで作ってから世に出すか、
どのタイミングでいくら金を取るかも変えられるでしょうしね。
ソフトがパッケージとして完全に独立していた昔では難しかったでしょうが、
ネットを介してデータをいじれる現在ならば、
このやり方は試すに値すると思います。

>プログラミングが好きな人向け
あるいは、バグを見つけること自体をゲームとみなすか、ですね。
ゲーム自体が複雑だったり面白かったりすれば、また違ったんでしょうが、
僕の場合はどちらでもなかったのが痛かったです。

>ギャルゲーのデバッグ
なんという天然MAD。それはそれで楽しそうな。
ADV形式なら、チェックポイントがはっきりしてる分、デバッグはしやすそうです。

>「萌えない事」
ラブプラスで、1回のデート中に何十回もスキンシップをはかるはめになったのには閉口しました。
ほとんど、あれが面倒くさくなってやめたようなものです。
……そうか、彼女とのスキンシップに萌えない僕のほうがバグってたのか。
植村(管理人)
2010/03/31 23:01
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